魔族物語

【路上の夢 三話】

夕日は眩しく露頭に輝いた。街の人々の往来が激しさを増し、残っている俺を孤独にさせる時間だ。
皆帰る場所がある。
俺はここが帰る場所だ。
まだねる時間出はない。だが、今日は歩きすぎた。少し休もうとまた橋の上のねぐらに戻った。

夢を見た。

いや思い出したのかもしれない。

レンジが回る音がする。水道を誰かが使っている。
足音が近付いてきた。
「もう起きてよ!遅刻するよ!」

明るい女の声が響く。 目を開けると一緒に暮らし始めた君がいた。 手を引かれて起こされると慣れた手つきでスーツに着替えさせられた。
玄関まで来てくれた君は笑顔で送ってくれた。

人の海の中に入って流れに任せて、会社にたどり着いた。
いつもより早い入社らしい。ただ会社に近付くにしたがって吐気が強まるのだ。
吐気はもう我慢出来ないほどになっていた。
なんとかたどり着いた。遅刻寸前の時間。 入るなり、怒鳴り声が飛んできた。
「おせーよ!クズが!」
年下の上司の声だ。
営業の仕事はもう18歳の頃から10年やっているが、最近頭痛と吐気がとまらない。
「おい!!平山!これなんじゃ!?」
すごい形相で見ている。行くと、顧客を間違えて書いてしまったらしい。
「おい!分かってんのか?お前のせいでうちのお客さんいなくなったらどうすんだ??死ねよ!来なくていいよ!」
怒鳴り声は響き、他の社員たちも俺をチラチラ見ているのが分かった。
「なんだこのペン?お前はおかまか?」

胸にかけてあったペンを抜き取って床に叩きつけた。
君から借りたペンは床でコナゴナになった。
「ほら死んだ方がいいわお前!」

俺は吐気が限界まで来て抑えきれずはいてしまった。
そして、狂ってしまったのだろうか。奇声をひたすらあげて、罵倒を狂ったようにどなり散らした。
頭をかきむしって髪が落ちるのが分かった。 回りが脅えているのが分かる。

うあ〜!!


冷たい空気が体の隙間に入ってきた。
怖い夢だった。俺は今みた夢の内容は詳しくしろうするがそれ以上は何も分からなかった。
暗闇の中 夜の眠らない街の灯りだけ眩しくて。

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